「反応が薄い」若手が、自分から動き出す ― 金融機関研修で見えた共通の傾向

「何を考えているのか、いまひとつ読み取れない」
「こちらの問いかけに、反応が薄い」

入社数年目の若手を前に、そんな戸惑いを覚えたことのある人事・教育担当の方は、少なくないはずです。
とりわけ、学生時代の多くをコロナ禍で過ごした世代。人と深く関わる経験を積みにくかったぶん、最初はどこか距離を置いて構える。そんな姿を現場で見てきた方も、多いのではないでしょうか。

先日実施した、ある金融機関向けのマネーアドバイザー研修・ローン研修。
そこで見えてきた“若手の変化”には、いくつかの共通した傾向がありました。

最初は控えめ、けれど終わる頃には

研修の序盤、若手の受講者は総じて控えめです。緊張や遠慮から反応が薄く、静かに様子をうかがっているーー
そんな空気が漂うことは、決して珍しくありません。

ところが、時間の経過とともに空気は変わっていきます。少しずつ表情がほぐれ、態度が前向きに。
終盤には、講師へ自分から声をかける受講者が現れ、会場は賑やかな雰囲気のまま研修を終えました。

半日ほどのあいだに起きる、この変化。特定の誰か一人ではなく、多くの若手に共通して見られる流れです。

何が、若手を動かすのか

反応が薄いのは、意欲がないからではありません。多くの場合、「安心して口を開ける場」が、まだ整っていないだけ。

おもてなし経営研究所が大切にしていることの一つが、「営業営業しない」という姿勢です。一方的に教え込むのではなく、問いかけ、聴き、相手が自分の言葉で語り出すのを待つ。未来に向けた問いを投げかけ、受講者自身に想像させ、言葉にしてもらう。
この「引き出す」関わりは、お客さま応対の極意であると同時に、若手育成そのものにも重なります。

研修の場にも、同じ姿勢が流れています。受講者自身が「聴かれ」「問いかけられる」経験を重ねるうちに、自然と口が開いていく。最初は身構えていた若手も、やがて自ら声を上げるようになる。私たちのこうした関わり方こそが、変化の背景にあると考えています。

受講者の声

こうした変化は、研修後のアンケートにもはっきりと表れました。
数多く寄せられた声の一部を、設問ごとにご紹介します。

研修から学んだこと

セールスの内容以前に、話し方やニュアンス、言葉遣い一つで、お客さまの聞き方や気持ちが変わってくる。お客さまと職員という関係だけでなく、人と人として関わっていく必要があると感じました。

より良い接客をするには、まず自分の気持ちを作ることから始める。という最初のお話が心に残っています。
「状態を作ると、行動もついてくる」という言葉は、忘れないでいきたいです。

窓口応対における表情や言葉遣い、誠実な姿勢の一つひとつが、組織全体の信用に直結する。
その重要性を、改めて痛感しました。

これから実践したいこと

話している内容が良くても、伝え方でお客さまの受け取り方は変わる。
これからは常に、「自分がされて嬉しい接客」を心がけて話すことを実践していきます。

お客さまに特別感を感じてもらえるよう、1回の来店につき3〜5回を目安に、お名前でお呼びするようにします。
ご提案のときは、問題回避(リスク)を先に伝えてから、目標達成(メリット)を伝えるようにします。

竹岡先生の「営業営業しない。お客さまが自ら声を掛けてくださるよう、種まきをすればいい」という言葉に救われました。
長々とセールスせず、コンパクトに伝えることを実践していきます。

研修を終えての感想

お客さまの立場に立って商品を提案することが大事だと教えていただき、今までそこが足りていなかったと気づけました。日頃から通帳をしっかり見て、提案できるよう心がけていきます。

セールスのストレスや、目標達成へのプレッシャーがありました。
ですが今回、お客さまに「営業されている」という嫌悪感を感じさせずに商品を推進する。
一番学びたかったことを学べる機会に。竹岡先生の技を、日々の窓口で使っていきます。

声掛けに自信がなく苦手意識がありましたが、研修を通して「聴き上手になること」が重要だと感じました。
「この人に話したい」と思っていただける担当者になれるよう、努力していきます。

注目したいのは、「学んだ」で終わっていないこと。「明日から、こう動きたい」という具体的な実践の言葉が、多くの受講者から挙がっていること。これこそ、研修が本当に届いた証だと考えています。

若手の主体性を、どう引き出すか

若手の主体性をどう引き出すか。この世代の育成に、どう向き合うか。いま、多くの人事・教育担当者が向き合っているテーマではないでしょうか。

そして外部研修に求めるものも、「知識を教えてもらう」ことから、「態度や主体性が変わるきっかけ」へと移りつつあるように感じます。きっかけと、安心できる場さえあれば、若手はこんなふうに動き出す。

今回の研修は、そのことを改めて教えてくれました。

おわりに

「うちの若手も、こう変われるだろうか」

そう感じていただけたなら、ぜひ一度、おもてなし経営研究所にお困りごとをお聞かせください。
貴社の課題に合わせた研修のかたちを、ご一緒に考えます。

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執筆・監修

株式会社おもてなし経営研究所 代表 伊東 久

飲食・ホテルサービス業の現場に40年以上携わり、店長職から本部マネジメントまでを歴任。
長年の現場経験に基づく「一人ひとりが自走し、成長する仕組みづくり」を強みとする。現在はそのノウハウを活かし、飲食・宿泊業をはじめ、商業施設や官公庁、金融業など幅広い業種で人財育成のアドバイザーとして活動中。